脂質異常症とは
脂質異常症（高脂血症）は、血液中のコレステロールや中性脂肪が基準値を超えて増加し、動脈硬化をはじめ、心筋梗塞や脳卒中のリスクを高める病態です。
自覚症状がほとんどないため、定期的な血液検査で早期に発見することが重要です。
診断基準
脂質異常症の診断は、以下の基準値に基づいて血液検査で行います。
| 診断基準 | 基準値 |
|---|---|
| LDLコレステロール | 140 mg/dL以上 |
| HDLコレステロール | 40 mg/dL未満 |
| 総コレステロール | 220 mg/dL以上 |
| 中性脂肪 | 150 mg/dL以上 |
脂質異常症の原因
脂質異常症は以下のような要因で引き起こされます：
- 遺伝的要因
- 高脂肪の食品やアルコール摂取
- 運動不足や肥満
- その他の疾患（糖尿病、甲状腺機能低下症など）や薬剤の影響
脂質異常症の治療法
生活習慣の改善
脂質異常症治療の基本は、生活習慣の見直しです：
- バランスの取れた食事: 野菜や魚を多く摂り、コレステロールや脂肪の多い食品を減らしましょう。
- 適度な運動: 有酸素運動（ウォーキングなど）を週に3回以上取り入れることが推奨されます。
- 体重管理: 適正体重を維持し、肥満を防ぎます。
- 禁煙: 喫煙はHDLコレステロールを低下させるため、禁煙が必須です。
薬物療法
脂質異常症の治療に用いられる薬剤とその効果は以下の通りです：
| 分類 | 代表的薬剤 | 効果 |
|---|---|---|
| スタチン系 | ロスバスタチン、アトルバスタチン | LDLコレステロールを減少し、動脈硬化を抑制 |
| フィブラート系 | フェノフィブラート、ベザフィブラート | 中性脂肪を減少し、HDLコレステロールを増加 |
| コレステロール吸収阻害薬 | エゼチミブ | 小腸でのコレステロール吸収を抑制 |
| PCSK9阻害薬 | エボロクマブ、アリロクマブ | LDLコレステロールを大幅に減少 |
| EPA製剤 | イコサペント酸エチル | 中性脂肪を減少し、動脈硬化を予防 |
脂質異常症の管理目標
心血管疾患のリスクに応じて、以下の管理目標を設定します：
| リスク分類 | LDLコレステロール | HDLコレステロール | 中性脂肪 |
|---|---|---|---|
| 高リスク（既存疾患あり） | 70 mg/dL未満 | 40 mg/dL以上 | 150 mg/dL未満 |
| 中リスク（危険因子あり） | 100 mg/dL未満 | 40 mg/dL以上 | 150 mg/dL未満 |
| 低リスク（危険因子なし） | 120 mg/dL未満 | 40 mg/dL以上 | 150 mg/dL未満 |
定期検査とフォローアップ
脂質異常症の治療では、定期的なフォローアップが重要です。
- 生活習慣改善の期間: 3～6か月
- 薬物療法のモニタリング: 開始後3か月ごとに血液検査
- 安定期: 半年～1年ごとの血液検査を推奨
よくある質問（Q&A）
Q1: 脂質異常症はどのように診断されますか？
A: 血液検査で診断されます。LDLコレステロール、HDLコレステロール、中性脂肪の値を確認します。
Q2: 治療にはどのくらい時間がかかりますか？
A: 治療は長期にわたりますが、適切な生活習慣改善や薬物療法でリスクを大幅に低減できます。
Q3: 自覚症状がなくても治療は必要ですか？
A: はい。自覚症状がない段階でも動脈硬化が進行するため、早期治療が推奨されます。
脂質異常症は自覚症状が少ないため、定期的な検査と適切な治療が重要です。当クリニックでは最新の治療法と生活習慣改善を通じて、動脈硬化や心血管疾患のリスクを低減するサポートを行っています。ぜひご相談ください。