内科・循環器科疾患の解説(要約)
日常診療によく遭遇する内科・循環器科の病気についての解説
1.狭心症(要約)
狭心症は、心臓に十分な血液が届かず、胸に痛みや圧迫感を感じる病気です。主に運動やストレス時に発症し、安静にすると改善します。痛みは左胸や腕に広がることがあり、息切れや疲労感を伴うこともあります。
診断には心電図や血液検査が使われ、治療にはニトログリセリンなどの薬や手術が必要な場合もあります。生活習慣の改善、特に禁煙や適度な運動が予防に重要です。症状が現れたら、早めに医師の診断を受けることが大切です。
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2.心筋梗塞(要約)
心筋梗塞は、冠動脈が詰まり、心筋が酸素不足で壊死する緊急の病気です。早期の発見と治療が重要で、遅れると不整脈や心不全など命に関わる合併症を引き起こします。
主な症状は、胸の中央に圧迫感を伴う強い痛みが20分以上続くことです。また、左肩や背中への痛み、息切れ、冷や汗、吐き気、動悸なども現れます。これらの症状が出た場合は、すぐに医療機関を受診してください。
診断には心電図や心筋トロポニンT測定が用いられ、必要に応じて冠動脈造影検査が行われます。治療には、血栓を溶かす薬やカテーテル治療、冠動脈バイパス手術があり、再発予防のため生活習慣の改善も重要です。
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3.心臓弁膜症(要約)
心臓弁膜症は、心臓の弁が正常に開閉せず、血液がスムーズに流れなくなる病気です。狭窄症(弁が狭くなる)や閉鎖不全症(弁が漏れる)があり、加齢、動脈硬化、リウマチ熱などが原因です。主な症状は呼吸困難、疲労感、胸痛、動悸、むくみなどで、無症状の場合もあります。診断は心臓超音波検査(エコー)が中心で、心電図や胸部X線も行われます。治療は、軽症は経過観察、薬物治療で管理し、重症では弁置換術やTAVIが検討されます。
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4.不整脈・心房細動(要約)
不整脈は、心臓の拍動が速すぎる、遅すぎる、または不規則になる状態です。主な種類には徐脈(60回/分未満)、頻脈(100回/分以上)、心房細動などがあり、それぞれ異なる原因や治療法があります。診断には心電図やホルター心電図が用いられ、場合によってはカテーテル検査が行われます。治療は、薬物療法(抗不整脈薬や抗凝固薬)、ペースメーカー、カテーテルアブレーション、電気除細動などが行われ、症状や重症度に応じて選択されます。
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5.心不全(要約)
心不全は、心臓が全身に十分な血液を送り出せなくなる状態です。これにより、呼吸困難や倦怠感、むくみ、頻脈などの症状が現れます。主な原因は高血圧や冠動脈疾患、心筋症、糖尿病などです。診断には血液検査、心電図、心エコー検査が用いられ、これらにより心臓の機能や損傷の程度を確認します。治療方法としては、薬物療法(ACE阻害薬や利尿薬)、塩分制限や運動、禁煙など生活習慣の改善が重要です。重症の場合はペースメーカーなどのデバイス療法も行われます。
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6.高血圧(要約)
高血圧は、血液が動脈を流れる際に血管へ強い圧力がかかる状態で、収縮期血圧が140mmHg以上、または拡張期血圧が90mmHg以上と定義されます。放置すると心臓や腎臓、脳に負担がかかり、心筋梗塞や脳卒中のリスクが高まります。血圧は家庭用血圧計や医療機関で簡単に測定でき、特に朝と夜に測るのが理想です。定期的に測定し、異常があれば医師に相談してください。治療は、塩分を減らす、定期的な運動、禁煙・節酒、バランスの取れた食事などの生活習慣改善が中心です。必要に応じて薬物療法も行います。
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7.脂質異常症・高脂血症(要約)
脂質異常症(高脂血症)は、血液中のコレステロールや中性脂肪が増え、動脈硬化や心筋梗塞、脳卒中のリスクを高める病気です。自覚症状が少ないため、定期的な血液検査での早期発見が重要です。診断は、LDLコレステロール140mg/dL以上、HDLコレステロール40mg/dL未満などが基準となります。治療は食事や運動の改善、必要に応じてスタチン系薬などを使用します。生活習慣の改善と定期的な検査が効果的な予防策です。
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8.糖尿病(要約)
糖尿病は、血糖値が高くなる病気で、インスリン不足やその働きが低下することが原因です。空腹時血糖値が126 mg/dL以上、ヘモグロビンA1cが6.5%以上で糖尿病と診断されます。1型はインスリンがほとんど作られなくなる病気で、2型はインスリンが効きにくくなるのが特徴です。治療には、食事療法(カロリー制限や低GI食品)、運動療法(有酸素運動や筋トレ)、および薬物療法(インスリンや経口薬)が含まれます。血糖値を適切に管理し、合併症を予防することが重要です。
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9.睡眠時無呼吸症候群;SAS(要約)
睡眠時無呼吸症候群(SAS)は、睡眠中に10秒以上の呼吸停止が1時間に5回以上起こる病気で、夜間のいびきや日中の強い眠気が特徴です。未治療では高血圧や心筋梗塞のリスクが2〜5倍に増加します。診断は簡易検査や精密検査(PSG)で行い、簡易検査でAHIが40以上、PSGで20以上の場合はCPAP治療が保険適応となります。治療にはCPAP装置や生活習慣の改善が用いられ、心血管リスクを軽減できます。
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10.上気道感染症(要約)
上気道感染症(URTI)は、鼻や喉などの上気道に感染が起こる病気の総称で、風邪やインフルエンザ、COVID-19が含まれます。主な症状は、発熱、咳、喉の痛み、鼻水で、軽症が多いですが、高齢者や基礎疾患がある場合、重症化するリスクがあります。診断は問診や視診、迅速抗原検査やPCR検査で行われます。治療には解熱鎮痛薬や抗ウイルス薬が使用され、症状や感染の種類に応じて適切に処方されます。早期治療が重要です。
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11.アレルギー性鼻炎・花粉症(要約)
花粉症(アレルギー性鼻炎)は、スギやヒノキなどの花粉に対する免疫反応によって引き起こされ、くしゃみ、鼻水、鼻づまり、目のかゆみが主な症状です。特に春や秋に多く発症します。診断は問診、皮膚プリックテストや血液検査(IgE抗体の測定)で行われます。治療には抗ヒスタミン薬、ステロイド点鼻薬、点眼薬が使われ、症状を効果的に抑えます。さらに「小青竜湯」、「葛根湯加川?辛夷」などの漢方薬は、花粉症による鼻づまりや頭痛に効果があり、体質改善を目指します。生活習慣の改善も重要で、ビタミンCを多く含む食事やストレス管理がアレルギー症状の軽減に役立ちます。
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12.インフルエンザ・風邪の漢方治療(要約)
風邪やインフルエンザは、ウイルスや細菌が原因で、鼻水、咳、発熱、倦怠感などを引き起こします。西洋医学では対症療法として、解熱剤、咳止め、抗生剤(細菌感染時)や抗ウイルス薬(インフルエンザに対してタミフルやイナビル)が使われます。
漢方では、症状や体質に応じた処方が行われ、体温を上げて免疫力を高めることが重視されます。初期の風邪には、体力が低下した人向けに「麻黄附子細辛湯」や「真武湯」が使用され、発熱や悪寒が強い場合は「葛根湯」や「麻黄湯」が効果的です。風邪が進行した場合には、便秘や腹部の張りがあるときに「大柴胡湯」、咳や痰が長引くときは「麦門冬湯」や「柴朴湯」が使われます。
症状や体質に合った漢方薬を選び、安静、栄養、十分な水分補給が回復を助けます。
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13.アレルギー性鼻炎・花粉症の漢方治療(要約)
アレルギー性鼻炎・花粉症の漢方治療は、急性期に症状を抑える「標治療」と、体質を改善して再発を防ぐ「本治療」の2段階で行います。急性期の「標治療」では、寒症タイプ(寒がり、冷え、鼻水が多い)には「小青竜湯」や「麻黄附子細辛湯」を使用します。小青竜湯は、花粉症の約8割に効果的とされ、特にくしゃみや鼻水、鼻づまりに効果が高い薬です。胃腸が弱い場合は「苓甘姜味辛夏仁湯」が適しています。逆に、熱症タイプ(暑がり、粘性の鼻水)には「葛根湯」や「越婢加朮湯」が用いられます。
「本治療」では、体質改善のために「当帰芍薬散」や「補中益気湯」を使い、再発しにくい体を作ります。漢方薬は、眠気が少なく、副作用も軽微ですが、麻黄を含む薬(葛根湯、麻黄附子細辛湯など)は高血圧や心臓病がある場合は慎重に使用する必要があります。漢方は西洋薬と併用が可能で、患者の体質に応じた治療が行われます。
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